これから広州に赴任される皆さんにとって、
現地で働かれている中国人の皆さんがどういう考えをお持ちの方が多いのかわかりませんよね。
よって現地の方にどのようにお仕事を指示確認していったらよいのか不安だったり、
現地の方との間に良い人間関係を築くことが出来るのか
漠然とした不安をお持ちだと思います。
本日は、私ツーテンが10年間の広州駐在期間で感じた、
広州の皆さんのものの考え方と、
それを踏まえた、良い人間関係を構築できるお仕事の指示確認方法、
業績評価の方法を書いてゆきます。
このテーマは、到底一概にひとくくりにできるテーマではないことは
皆さんもご理解いただけると思います。
あくまでも、「ツーテンはこう感じたんだな」という見方で読んでいただけますと幸いです、
結論:明確な指示をし、業績に対し明確な評価をする
極めて当たり前の結論ですが、
明確な指示をし、業績に対し明確な評価をする事が
広州現地社員との間に良い人間関係を構築できる方法です。
以下に詳細説明をさせて頂きます。
現地社員の皆さんのものの考え方
メシを食うために働く
これは、突き詰めれば、全世界の人間共通の考え方だと思います。
メシを食うために働くのですから、給与や福利厚生は手厚いほど良い。
会社につぶれてもらっては困るし、首にもなりたくない。
当然の考え方ですね。
ただし、国の裕福度、社会の安定度、平均個人所得、生活の満足度などの違いにより、
個人の働く目的が少しずつ変わります。更に深堀りしてみます。
お給料をたくさん貰いたいという欲求
簡単に言ってしまいますと中国は日本より貧富の差が大きいです。
「貧」も日本より大きいし「富」も日本より大きい。
当然日本人より、お金持ちになりたいという欲求は高いです。
どうしたらもっとお金が貰えるのかを、日本人より真剣に考え、行動しています。
決して中国人がお金に卑しいと否定しているのではありません。
逆に日本人が見習うべき考え方だと思っています。
自己主張が強い
中国の皆さんの自己主張は強いです。
はっきり大きな声で話します。自分の意見をはっきり言います。
他人との異論に対し徹底的に話し合います。
これを「わがまま」と嫌っていたのでは、広州で良い仕事ができません。
我らは、広州の皆さんにこういった傾向があることを踏まえ
どうお付き合いするかを考えます。
ボスへの順従性
ボスへの順従性は高いです。
ここでいう「ボス」とは自分の「業績評価者」を示します。
併せて「会社のキーマンが誰なのか」についても敏感です。
ただし、決してイエスマンではありません。
自分が疑問に思う事は徹底的に質問しますし、私案の上申も頻繁にしてきます。
たたその上で、最終的には「ボスの命令には従う」ということを
「順従性がある」と評しています。
出世したいという欲求
中国の皆さんの昇進意識は強いです。
上述してきた欲求全てを実現させるために昇給したいわけです。
日本も高度経済成長期には、「モーレツ社員」と呼ばれる方々が多くおられて、
生き生きと働いておられたと聞きます。
今の広州はその頃の日本と似ているのかもしれないと感じています。
現地社員の方への、仕事の指示確認方法
給与体系、業績評価制度をできる限り具体化する
良く日本の会社で見かける、抽象的な給与体系、業績評価制度では全く駄目です。
給与体系なら「何年勤務の職位XXの人はいくら」「評価Cならいくら」
「こういう良いことをしたらいくら」「こういう悪いことをしたら罰金いくら」
と完璧に、事細かに明確にしてください。
業績評価制度も「評価項目はこれ」「このように評価点をつける」
「納期達成度の評価はこれ」「品質、業績達成度の評価はこれ」
「評価点がXX点からXX点の人は評価C」「評価Cの人の昇進昇格はこうなる」
「評価Cの人の昇給はこうなる」と完璧に、事細かに明確にしてください。
いつまでに何をどこまで完了させてほしいのか、納期と目標を明確に伝える。
半年1回程度、個人に対し、自部門の方針と、個人に対する業務目標と納期を明確に伝えてください。
そして、1~2週間の期間を与え、貴方が与えた業務目標に対する業務計画案を考えさせてください。
伝えた目標に対し、業務計画を立案させ徹底的に検討し「合意する」
部下が業務計画案を提出したら「徹底的に熟読し理解します」「不明点を明確にします」
そして必ず打ち合わせを持ち、不明な点を解消したうえで、部下と「合意」をします。
重ねて申し上げます。「具体的な業務計画を合意してください」
この業務計画が、今後の半年間の業務の設計図となります。
業務計画の進捗状況を定期的に報告させる。現物確認も実施する。
業務計画は作りっぱなしではいけません。
計画は種々の外部要因により「必ず遅れます」
「遅れるのは部下のせい」「俺のせいではない」「なんとかしろよ」「俺は知らん」では
部下は「絶対に、絶対についてきません」
最低でも毎月1回は計画進捗をフォローしましょう。
問題や遅れが発生した際、もちろん原因追求を徹底的に行うのですが、
「犯人探し」「責任論」は絶対NGです。
これをしたら、次回から部下は問題や遅れを隠します。「絶対に隠します」
原因追求をしたら、挽回対策、挽回計画を立案し、今日からその挽回計画を進捗してゆきます。
併せて、再発防止策も必ずしてください。
再発防止策検討においても「犯人探し」「責任論」は絶対NGです「
なぜ遅れたのか、問題が起きたのか」に集中し
「どうしたら防げたのか」に意識を集中させてください。
ここで重要なのが「根性による再発防止」はしない事。
よく、不良発生の対策として「検査員はもっとよく見る事」とか
「見たらマーキングする事」とか「2重検査をすること」とかを見かけるのですが、
これは「根性による再発防止です」
といいますか、「再発防止になっていません」
不良識別カメラによる不良検査とか、システム的に、仕組みで再発防止を図って下さい。
目標達成度を具体的に確認。本人と合意する。
半年間の業務計画期間が過ぎたら、
目標達成度を部下と具体的に確認し本人と合意します。
そして、課題を抽出し、次の半年に向けての実施計画に織り込み、また部下と合意します。
この繰り返しが本当に大切です。
目標達成率を業績評価制度に照らし「昇進昇格、昇給」に反映させる。
目標達成率を業績評価制度に照らし「昇進昇格、昇給」に確実に反映させます。
≪ご注意≫
会社全体の平均昇給額については会社としての業績、親会社の業績など、
個人の業績から離れた部分できまります。
よって、個人に対する昇給「額」もその影響を受けます。
この点は誤解のないように面接時点でしっかりと部下に話してあげてください。
まとめ
ここまで読んでいただき、誠にありがとうございます。
読み終えて皆さんがお持ちの感想は
「こいつは何と当たり前のことを偉そうに書いているんだ!」と思わているでしょう。
当たり前すぎてすいません。
でも、広州で仕事をしていて、問題が山積してくると、
つい「中国人のせいだ」とか「中国人が悪い」とか、
そんな話が日本人駐在員の間でよく出てくるんです。
お分かりの通り、そんなんじゃ、問題は決して解決しないし、中国の方との信頼関係もなくなります。
果てには労使問題にまで発展し、会社存続の危機にまでつながります。
本当ですよ。本当にこういったワーストケースが「よくあるんです」
そういった経験をしてきた中で、同業他社のお仲間達と議論を積み重ね、
たどり着いたのは、何を隠そう上記のような「当たり前のことの地道な実践」でした。
このように地道にまじめに仕事をすると、部下との信頼関係が生まれます。
信頼関係が生まれますと、昔の日本のような「食事に連れていってくださいよ!」とか
「遊びに行きましょうよ!」とか、中国現地社員との家族的な付き合いが増えてきます。
これは広州に赴任して得られる、何物にも代え難い財産となります。
日本からはるか遠い外国で孤軍奮闘するのは本当に苦しいことが多いですが、
上記を夢見て頑張ってください。
おまけ:ブログシリーズ紹介
このブログシリーズは「広州赴任準備編」と「広州駐在生活編」の2編構成で、
広州赴任における種々の心配事に対するアドバイスをさせて頂きます。
このブログシリーズが、皆さんの広州赴任生活にお役に立てれば幸いと考えております。
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